【過去編】ポストモダニズムと大学時代
バブル
私と相棒は大学の同級生。ちょうどバブル景気の真っ只中に入学した世代です。建築界ではポストモダニズムのムーブメントが大勢を占めていました。
ポスト−モダニズムは、20世紀終了を目前に、20世紀初頭から隆盛を極めたモダニズム、すなわち近代主義建築は、いろいろと欠点が目についてきた、一言で言えばもう古いという論調。中でもディコンストラクティビズム−脱構築という概念はフランス哲学に端を発した難解な説明と、整形におさまらない、華やかな形態がトレードマークで、バブルの経済力の象徴として、大きなゴージャスな建物が次々と建てられていました。
映画「誰も知らない建築の話」
先日公開されて話題になった映画「誰も知らない建築の話」には
その頃の雰囲気が本当によく表れていて懐かしかったですが、同時に、こういったポストモダンの趨勢は1980年代からの世界的な潮流だったとはいえ、実際に建物が狂ったように実現されていたのは日本に特有の出来事だったことも再認識させられました。
ウィーンのポストモダニズム
その後バブル崩壊と同時に、日本のポストモダニズム建築は急速に影を潜めていくのですが、私たちはこの時代に洗礼を受け、中でも大きく影響を受けた作品として、コープ・ヒンメルブラウのルーフ・トップ・リモデリングがあげられると思います。
スタティックな様式建築の上に、虫のような、羽のようなものがふわりと、軽やかに留まっている様子が一枚の写真に表現されています。
建築への憧れ
これは部屋を屋上に増築するための、屋根の改装ですが、その形態や素材の既存建物との大きな対比が、ウィーンという美しく完成され、それ故に息苦しい街並みの中に、一服の爽やかな風が吹き込んだような効果を与えています。
ごく小さくても、言葉で長々と説明しなくても、一目でその力がみる人に伝わるような建築が存在するということを強く実感し、憧れたことを思い出します。