ある女性建築家の暮らし

設計事務所をしながら、三姉妹を育てています。女性であり仕事をもち子供がいること。悩みの多い毎日について書きとめていきます

お母さんモードと建築家モード

「ある女性建築家の暮らし」とタイトルを決めたので、まず今日の一日について

 

朝6時50分起床、長女は声をかけると

わかってるから、いちいちうるさい!

と怒るので、反抗期は大人になるための重要なステップ、と自分にいいきかせ、ほっておく。弁当と朝ごはんをつくって、次女に食べさせて、音読するのをきいて、弁当をつめて、お茶を3本の水筒にセット。8時前に次女、長女と順番に見送って、ほっと一息。

 次は三女を起こしますが、大変お寝坊さんなので、最後はぐってりしてるのをだっこしておりて、着替えをして、朝ごはんを食べて、歯を磨いて9時に出発。

今日は遠くのグラウンドに運動会の練習に行くねん。年長さんと年中さんだけで、年少さんはお留守番やねん。小さいから。

と保育園でご機嫌に別れる。ここまでが朝のお母さんモード

 

10時ごろ出社。家から5分ほど歩く間に、今日はあれしてこれしてと考えながら仕事モードに。午前中はどうしてもメールの返事など細かいことになってしまいますが、メインの仕事のそれぞれのスタッフとは一言ずつでも話しをして、プロジェクトを常に進んでいる状態にしたい。毎日素晴らしいアイディアは出ないけど、少しづつでも形を変えていると、やがてごろっと落ち着くあたりが見えてくるからと、経験から思えるようになってきました。

 

1時頃いったん家に帰ってお昼ごはんのあと、また事務所に戻って仕事に集中。来週末にせまった公開審査のプレゼンテーション原稿を書いてましたが、はっと気がつくと4時45分。こういうことしてると、本当に時間は早く過ぎ去る。

うーん、続きはまた明日だけど、なんとか明日午前中にはめどをつけて、スライドを原稿に合わせて調整してもらわなくては、

と考えながらパソコンをしまって、「お先に!」ということで、すぐに自転車に乗ってお迎えにむかいます。仕事時間は終了

 

自転車に乗りながら、ここからお母さんモードなので、晩御飯は何にしようかな〜

最近肉ばっかりだから、今日は魚にして、ちょっと和食風にしよう。こどもには不評だが…

とか。たいしたこと考えてませんが、作戦を練らないと買物ができないし、買物に手間どって、食事が遅くなるとまた後にひびくので、集中力は仕事なみに必要。

 

5時に三女をピックアップして、買物して、すでに上二人は帰宅しているので三女を託して、夕食は6時半が目標です。うまくいけば、夕食つくりながら洗濯物をとりこんだりちょっと掃除したりできますが、遊んでくれ〜とまとわりついてきたり、うっかり食事を一品増やしたりするとすぐに時間はたちますね。 

7時からが少し余裕の時間で、うまく下二人が遊び始めたら洗濯物をたたんだりできますが、たまには遊んで〜と毎日言われるので、ちょっとトランプしたりしてるとすぐ8時。夜のくだものを楽しんで、歯磨きをして、9時が一応三女の就寝時間です。

 

本が好きなので、三姉妹ともに小さい時は読み聞かせをしてきました。三女は迷路とかパズルとかが好きなので、ちょっとつらいですが、この時間はゆっくりと。でも読み終わっても全然すぐには寝ないんですよね。お昼寝してるから。10時に次女が、11時に長女が寝る時間になっても、ぱっちり起きていることはよくあって。そうこうするうちに私の方が先に寝落ちてしまうこともよくあります。もう11時が限界。

 

というわけで集計してみると、お母さん時間、朝3時間+夜6時間の計9時間。お仕事時間7時間。睡眠時間8時間…建築が好きでワーカホリックな人の多いこの業界では、仕事時間少な!と我ながら思います。が、長女が産まれてから約15年、あれこれ試してみましたが、お母さん時間はやっぱりこれくらいいるかな、というのが実感。

 

保育園で、緊張して社会生活を営んでいるこどもたちと、何か目的があるわけでもないのべっとした家庭生活を共にすること自体が、お母さんの仕事であり、楽しみなのかなと。だからお母さん時間には、よっぽどのエマージェンシー以外仕事はしないことにしてます。自分の中にはいりこんで超集中を必要とする仕事時間を、意識を拡散させて、まちの姿勢で過ごすお母さん時間に持ち込むと、その落差がつらくてイライラしてしまうからです。集中する時間は1日のある時間帯に集中させるほうが、私の精神衛生にはいいようです。

 

ただお母さん時間が1日9時間必要だとして、残った仕事時間はやっぱり足りているとはいえない。やるべきことの取捨選択をして、集中して仕事することは達成感もありますが、やはり、いざという時の余剰時間がなさすぎる。少し予想外のことが起こっただけでも、通常業務に余波がいって、現代日本の社会で必要とされているスピードに遅れてしまって、あせります。

 

というわけで、お母さんの時間と建築家の時間の配分にはずいぶん悩んできましたが、最近、歳もとってずうずうしくなってきたせいか、自分がわるいのではなく、もしかして現代日本、ちょっと早すぎるんじゃないかな〜と思うようになってきました。まあ確かにうちの事務所は始業時間が遅いですが、お母さん時間はあんまり削れないし、睡眠時間を削るとすぐ風邪ひいちゃうし、やっぱり私としては、これぐらいしか働けない。これぐらいしか働けないけど、ちゃんとした仕事はしたいし、他の働くお母さんだって事情はそんなには変わらないだろうし、働くお母さんが普通に増えている昨今、もう少しゆっくりお仕事をまわしてもいいのではないか?とおずおずと考えています。お金をたくさんくださいとはいいませんから。