アニカとフローリアン:地方に住むドイツ人建築家
以前このブログでも紹介していた、アニカとフローリアンのドイツ人建築家カップルが事務所に遊びに来ました。
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前回の京都滞在から4年。その間に彼らには大きな変化があったそうです。
ひとつめは息子が産まれたこと。今回は一緒に一ヶ月の京都滞在を楽しむ予定だそうですが、事務所では遊ぶものもなくてご機嫌斜め。仕方ないので、公園にお母さんのアニカが連れて行きました。
ふたつめは、活動拠点を都市からフローリアンの祖先の地である、ある村にうつしたこと。最初はまったく仕事がない状態だったけれど、まず祖先のものだったという小さなお城の修復・改装を手始めに、徐々にその地方にかかわるコンペなどを通して仕事を増やしていき、今ではすっかり軌道にのっているそう。
ドイツでもベルリンは近郊都市も含めて、大都市一辺倒で、皆の目が首都ばかりをむいているけれど、元東ドイツ領だったという移住先の村は、充分に僻地であると同時に南部のミュンヘンやシュトゥットガルトなど豊かな工業都市の文化圏なため、そちらからの仕事も受けられるということで、これから地方にじっくりと関わりながら、クリエイティブな活動をしていくことができそうだという展望を力強く語ってくれました。
今回京都に来たのも、その地方をかかわる一環で、6年後に大々的に行われる予定の、その地方主催のアート・建築イベントでの展示をすることになったそうで、そこで、彼らの経験を踏まえ、日本での、こういった建築、アート、新しい産業などに関わる若者の地方移住の新しい動きについて、研究、発表したいということでした。
うすうす感じてはいましたが、目の前にいるフローリアンが、楽しそうにこれからの話をするのをきいて、首都への一極集中への反動的な動きは、日本だけでないことが、強く強く実感されました。日本の地方は人口の減少が激しくて、限界集落という言葉もよく聞かれますが、ほどよく経済的で、ゆったりとした生活を、地方で送れるイメージが、もっと出回るといいのに、と思いました。
フローリアンが改装した古めかしいお城の一室で、暖炉の前の長テーブルを囲んで、その地方の建築の現在と未来について語り合うイベントの写真が、それはそれは楽しそうでした。
もう一人の女性建築家
先週末はお友達の女性建築家の手がけた建物が竣工したので、見学会兼勉強会に行ってきました。
こういう催しに参加するのは久しぶり。
見学会は週末のことが多く、保育園は小学校がないのでちょっと出にくいし、勉強会は皆仕事が一段落つく夜に行われることが多いので。
ただ、今回は1歳のお嬢さんがいらっしゃるので、次女と三女を連れて出かけてみました。
入口を一歩入って、圧力を感じるほどの濃い空間!
空間が濃いというのでなく、彼女がこれまで積み重ねてきた彼女らしい装置が満載!
ふと振り返ると、娘たちはガールズ同士お絵描きに突入しているよう。これでゆっくり見られるぞ。
ということで、建物中心を貫くトップライトの下、階段室を登って堪能させてもらいました。
階段を中心に四方八方にいろいろな大きさ、高さの部屋がとりまく構成ですが、それぞれの部屋から感じるイメージがとても多彩で楽しい!
その多彩のあり方が、テーマ重視の建築業界では珍しいと感じました。のちの勉強会でもそのあたりは議論にのぼっていて、女性的というような意見もありました。
私自身、各々の場所のイメージをきちんとまとめたいという気持ちはあるので、うなずかされる反面、やはり建物全体に通じるテーマが幹としてあって、構造やディテイルはそれを強化するべき、というような考え方をどうしても捨てられないので、これはむしろ世代差なのかも?
そして家中をすみずみまで見せてもらっての感想は、「なんだか羨ましい!」
何がかといえば、その自由さとしなやかさと強さかな?
男性のお仕事に、関心はしても、嫉妬はしないので、すごく気持ちはよくわかるけど、自分にはできない!!!という羨ましさなのではと思いました。
帰り道での娘たちの感想。
「素敵なおうちだったわ〜❤️うちと交換したい」
「…」
ついにわがやにブラーバちゃん371jがやってきました:わたしはいかにして3台目の掃除機を選んだか
今日しごとから帰ってくると、おそうじロボットブラーバちゃんが出迎えてくれました!ついに来ましたか!ここまで長い道のりでした。
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- 毎日の掃除不足をどうやって解消するか、長年の悩みでした
ともかく三女が産まれてからのこの4年。慌ただしい毎日に日々の掃除がおこたりがちになるだけでなく、年末のお休みになるたびに寝込んだりして、大掃除もしないまま、ふりつもっていくホコリたち。「しごとしてるんだから仕方がないのよ…」と自分にいいきかせてきましたが、ついに娘たち、特にお片づけの好きな次女から「うちが汚くてお友達もよべない!」と。さすがにショックでした…建築家なのに…自分ちは人に見せられないなんて…医者の不養生?ちょっとちがうでしょうか。
ともかく、一念発起して、もう少しお掃除レベルをあげることを考え始めました。
わたしの一日を見てもらえばわかるように、
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ふつうの日は掃除に手がまわっていないので、基本的に週末集中型ですが、しごとがはいる時もあるし、何よりこどもと遊びにいってしまって、疲れきって、これも不充分なまま次の週をむかえることが多々あって…これではだめだ!ということで、まず考えたのが
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アウトソーシング
週に1回とかお掃除の人に来てもらって、他力に頼ってすっきりしようという考えですが、本気で検討してみると、まず掃除の範囲はどの程度にするか、でもそうすると時間がかかってお値段も高くなるな〜とか、その人がきてくれる日にはその前に片付けをしておかなくてはならないんじゃないかな〜とか、でもそうすると、確実に片付けできる日を前もってよんでおかなきゃいけないな〜とか、結構めんどうで。
それぐらいなら、ちょっとしたあき時間に気がついたところをちょこちょこやるほうがしごとのスケジュールが不確定なわたしにはいいのでは、ということで、その気になった時に掃除機が手元にある状態にしよう!と考えて、3台目の掃除機購入を検討しました。
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ダイソンコードレス掃除機
ここで、どうして3台も掃除機がいるかということですが。
わがやは大変狭い敷地に建っているため、室内をスキップフロアにすることで、広く見せようという作戦をとっています。つまり9畳ぐらいの部屋が、階段で少しづつ高さを変えてつながっているので、重い掃除機を下から持ってこなくてはと思うだけで、お掃除ぎらいのわたしにはハードルが高くなってしまうため、一台は1階専用として、最上フロア用にハンディータイプのダイソンを買って、これを真ん中のさらに二つのフロアに持ち歩こうとしたのですが、これすらまだ気が重くて、気がついた時にすぐに腰があがらない。
そこで、真ん中の2つのフロア用に3台目の掃除機、上階と同じダイソンのハンディタイプですが、真ん中は天井が高いので、柄の長いやつが欲しいな、と調べてみました。ダイソンもちょっとずつちがう色々な種類がありますよね。
ちょこっと掃除したいので、充電してからの稼働時間は短くていい。それから今使っているローラーヘッドというのは、カーペットにむいているらしく髪の毛とかが大変からみやすいので、家中フローリングのわがやにはソフトローラークリーナーヘッドのほうがよさそうということでDyson V6 Fluffyがベストチョイスと決まったのですが、いざ価格コムで最安値を確認して、どうも気が進まない。3台目の掃除機に4万円台はちょっと高いんじゃないかな〜と思い始めて。
- ルンバ
それで、しばらくほったままになってました。
でももちろんなんら問題は解決しないので、もう一度上記のサイトから価格コムを見直している時に、ふと、ルンバって今いくらなのかな〜と思って、見てみるとこれがほぼ3万円!自分で動くのにダイソンより安いんだ〜と思って、口コミを読んでみました。
というのもそれまで、ルンバは高いだろうし、スキップフロアではいちいち抱いて階段を上下しなきゃならないから、自動おそうじロボットの意味がないし、第一フロアの端から落ちちゃうだろうと思い込んでいたので、全く念頭にのぼっていなかったのです。
それが口コミをつらつらと読んでみると、赤外線をはるセットがついていて、階段口から落ちないようになっていることがわかりひとつ問題が解決。
それからもっと心惹かれたのは、「なんかうちにペットを買ったような気分になって名前をつけてしまう」という投稿です。そうか、おそうじロボットというから、なんか楽するための道具って感じで、「そんなもん、自分でやればいいでしょー」という自責の念的なものもあったのですが、「ペットなら、いいかも」という我ながらよくわからない心理で俄然導入に心が動き始めました。
さらにもっと読み進んで、「うちのルンバ、留守中にそうじさせといたんだけど、うっかり、戸を閉め忘れていたら、おそうじしながら出ていってしまって、帰ってきません!」という記述をよんで大爆笑!迷子のルンバ!可愛すぎる!
というわけで、だんなに「ダイソンじゃなくてルンバを買ってください」とお願いしてみました。もうその時はすぐにでも買って!という気分だったのですが、当然彼の返事は「ん、考えとく。」それで、しばらくしてからもう一度プッシュしてみたところ意外な返事。「ちょっと考えてみたけど、ブラーバやったら買ってもいいで。」
「え〜ブラーバ〜?吸うやつじゃなくて拭くやつ〜?なんで〜?」
「もうフローリング手で拭くのめんどくさい。」
- ブラーバ
確かに、フローリングは適宜水拭きするととても気持ちいいのですが、今はそれ以前の問題でまずほこりをとらなくてはと思っていたので、全くブラーバは考えていなかったのですが、あらためてみてみると、水拭きするウェットモードだけでなく、乾拭きするドライモードもあるらしく、これがフローリングならクイックルみたいにほこりを拭き取る効果があるのではないかと考えたそう。
むむ、一理あるかも。
それから、ルンバは充電器がステーションになっていて、そうじ終了後に戻っていくそうですが、ブラーバは戻らない。けどうちはどうせ各フロアを移動させるので、ステーションをもともとつくらない予定。その場合、ブラーバのほうが重量が軽くてよいなど。
最終的には、掃除機で吸うか、モップで拭くか?そんなの、やってみなきゃあわかんないよ〜ということで、またペンディングしそうになりましたが、だんながブラーバがいいと言い出したことを思い出して、ブラーバにすることに心を決めました。
決して、だんなの決断力を信用しているということではなく…
「自分で言い出したんだから、その有用性を証明するために、積極的に掃除してくれるんじゃなかいか?」と思いついたからです。
我ながらナイス判断!と思いながら、再び価格コムを見たところ、またまた手が止まってしまいました。
「ん?ブラーバジェットってなに?こっちのほうがさらに一段安いな〜」
- ブラーバジェット
ここまで来たからには徹底的に比べてみたいとさらに検索。
ようやく結論が出ました。
ブラーバとブラーバジェットの一番の違いは水拭きの仕方。
ブラーバが付属布に少しづつタンクから水をしませながら、つまり濡れ雑巾をつくりながら水拭きするのに対して、ジェットは水を本体からピュッと吹き出して、その上を布で拭くそう。
上記ウェブサイトの筆者の使用比較によると、フローリングのメンテナンスとしての水拭きにはブラーバの濡れ雑巾式がよく、ビニル床などの汚れを拭き取るにはジェットの水かけ式がよいということ。この機械がアメリカ発ということを考え合わせても、かなり納得できる結論でした。
- 結論 ブラーバ317j
うちにはブラーバがいい!それも、うちは一日に1回しか掃除しないので、充電時間が短いブラーバ380jにする必要はなく、充電時間は長いけれど、付属の替え布数の多い371jでいい!と。
ようやく決まりました。
それでは使ってみた感想はまた次回に…
14歳少女の神通力:村上春樹から椎名林檎へ
14歳少女といって一番に思い出すのは村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」
14歳のユキは学校に行っていない。
とても美しくて繊細で残酷。
この物語の中で彼女は何かをするわけではなくて、何かをするのは主人公の「ぼく」だけれど、彼女は触媒として彼を導く。
はっと気づいたことに、長女は今14歳!
身長165センチは私と同じで、時々びっくりすることするどいことをいう。
「お母さんはどうして大学を出たのに企業に就職しなかったの?」
「それは最近わたしもよく考えることなんだけど、大学を出る時には全くそういう考えはなかったわねー。なぜかしら?」
黄金の10年をすっかり後にして、
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私たちが与えた規範から必死ででていこうと反抗的な彼女。
お弁当のおかずに文句をいわれた時には、
「まったくこっちの苦労もしらないで!こどもなんだから!」
と腹立つ一方、大人の世界にむけるまなざしはなかなか独創的で、ちょっと耳を傾けてみると当然だと思っていたことを考え直してみる機会になる。
ただ村上春樹わかってるなーと思うのは、そんな時期はあっという間にすぎさることを予見していること。ユキはこれからエネルギーにあふれた女性になっていくのか、それとも綺麗だけれど平凡な女性になっていくのか、いずれにしても14歳少女の神通力はあっという間に失われていくこと。
わたしにもそんな結晶化されたような14歳のころがあったはずなのに。まったく記憶にない。
椎名林檎にも14歳ぐらい少女の曲があります
これは本当にユキのような少女が映像化されていて好きなのですが、
椎名林檎わかってるなーと思うのは、神通力を失った後の女の気持ち。
これは子供を産んだことによって、神通力を失った女の歌だと、勝手に思ってます。
幼い頃から耳を澄ませば本当に小さな音も聞こえて来た…
時という時はそう音楽になり、欲しいものなどなかった。
どれほど強く望もうとも、どれほど深く祈ろうとも、もう聴こえない。
あなたの命を聴きとるため、代わりに失ったわたしのあの素晴らしき世界。
https://www.uta-net.com/song/171787/
わたしが覚えているのは、大学に入って建築を勉強し始めた時、これまで理解していたけれど表現することができなかったことすべてを、ここでなら表現できるような気になったこと。あれがわたしの最後の神通力だった気がする。
そして今、少女時代をはるかに後にしただけでなく、娘が神通力時代にはいってくるとは、時の流れるのは早いもの。
かつて神通力をもっていた先輩として、彼女の神通力がどのような新しい世界を照らすのか、興味深く、注意深く見守りながら、わたしは椎名林檎のように、それを失った自分について自覚的に、客観的に表現していきたい。
家族の黄金時代
友人の建築家に赤ちゃん誕生!
そのお友達が送ったメッセージが素敵でした。
You are going through the most beautiful moment of your life. The time will last only 10 years. Don't miss the moment.
貴方はこれから人生の最も素晴らしいひと時を過ごす。だけどその特別な時は10年だけ。見逃しちゃいけないよ。
それで思い出したもうひとつの言葉
あとから振り返ってみると、あれが家族の黄金時代だったな、そしてそれはとても短いものだったな。
うろ覚えですが、椎名誠の息子エッセイに出てきてたと思います。
こっちだったかな?
ずいぶん昔に読んだ本ですが、家族の黄金時代というフレーズが印象的で。
自分がこどもを産んでから、折に触れてかみしめてきました。
今日のインターン生は、ドイツ人の男の子、ポルトガル人セラミックアーティスト、京都の大学生の3人でした。
海外の建築学科は卒業要件としてインターンが必要なところも多く、この機会に海外生活を経験してみようという建築学生がたくさんいます。
うちの事務所は、海外の建築系ウェブサイトに作品が紹介されていて、京都という個性的な街にあって、シェアハウスを提供している、ということで毎日一通ぐらいは応募メールがやってきます。もともと建築分野では、図面やパースが言葉の代わり。3次元の表現スキルが高ければ、すぐに即戦力になってくれることもあって、ポートフォリオが個性的な人を選んで、常に1〜2人のインターンに来てもらっています。
仕事を手伝ってもらうだけでなく、彼らと話をするのはとても楽しい。
例えばスターアーキテクトは世界共通のアイドルなので、「どんな建築家が好き?」と聞くと、「アンドー」とか「SANAA」とか「ザハ・ハディド」とか盛り上がることができますし、その一方で、どんな建築教育を受けたかには、大変お国柄がでます。
今滞在しているドイツ人のアレックスは、シュトゥットガルト大学のマスターコースの学生。去年は1年間ロンドンのフォスター事務所でインターンしていたというからかなりのもの。こんな風に大小さまざま、世界各地の設計事務所をみっちりと体験して、この秋国に帰って卒業したら、いよいよ本格的にキャリアを始める、2、3年働いたら自分の事務所をひらく!と宣言しました。
ポルトガル人のクリスティーナはすでにキャリアのあるセラミックアーティスト。もとから興味のあった建築を勉強したいということで、1週間に一度、事務所に来ています。模型をつくったり、図面を描いたりしながら建築を学ぶ一方で、素材のこと、展覧会のこと、子育てのことまで人生の先輩!として相談にのってくれる存在。興味のあることにはどんどん関わっていく姿勢は本当にえらい!来月は里帰りするのでちょっと寂しくなります。
1ヶ月きている京都の大学生T君は、インターンをすると卒業後の一級建築士の受験要件が緩和されるそうです。もうひとつ行ったことのあるインターン先は某大手ゼネコン設計部だそうで、そろそろ就職活動の時期、どんな道にすすむか迷い中といったところでしょうか。
まったく三者三様。
私自身が卒業の頃には…どうだったかな。
まあ、うちの事務所の中をみわたしただけでも、いろんな道があるんだな〜と日本人の男の子がしみじみ思ってくれるとうれしいな。
自分自身、社会に出て20年、学生時代には予想だにしなかった道を通ってきているので、誰にも先輩じみたことは言えないです。
【過去編】ポストモダニズムと大学時代
バブル
私と相棒は大学の同級生。ちょうどバブル景気の真っ只中に入学した世代です。建築界ではポストモダニズムのムーブメントが大勢を占めていました。
ポスト−モダニズムは、20世紀終了を目前に、20世紀初頭から隆盛を極めたモダニズム、すなわち近代主義建築は、いろいろと欠点が目についてきた、一言で言えばもう古いという論調。中でもディコンストラクティビズム−脱構築という概念はフランス哲学に端を発した難解な説明と、整形におさまらない、華やかな形態がトレードマークで、バブルの経済力の象徴として、大きなゴージャスな建物が次々と建てられていました。
映画「誰も知らない建築の話」
先日公開されて話題になった映画「誰も知らない建築の話」には
その頃の雰囲気が本当によく表れていて懐かしかったですが、同時に、こういったポストモダンの趨勢は1980年代からの世界的な潮流だったとはいえ、実際に建物が狂ったように実現されていたのは日本に特有の出来事だったことも再認識させられました。
ウィーンのポストモダニズム
その後バブル崩壊と同時に、日本のポストモダニズム建築は急速に影を潜めていくのですが、私たちはこの時代に洗礼を受け、中でも大きく影響を受けた作品として、コープ・ヒンメルブラウのルーフ・トップ・リモデリングがあげられると思います。
スタティックな様式建築の上に、虫のような、羽のようなものがふわりと、軽やかに留まっている様子が一枚の写真に表現されています。
建築への憧れ
これは部屋を屋上に増築するための、屋根の改装ですが、その形態や素材の既存建物との大きな対比が、ウィーンという美しく完成され、それ故に息苦しい街並みの中に、一服の爽やかな風が吹き込んだような効果を与えています。
ごく小さくても、言葉で長々と説明しなくても、一目でその力がみる人に伝わるような建築が存在するということを強く実感し、憧れたことを思い出します。